「絵の出るレコード」などとうたわれたレーザーディスク(laserdisc)の寿命は短かったかもしれないが、その単語の綴りをややいじっているDJデュオLazerdiskは現在上り調子でしかない。
今週土曜日には渋谷Sound Museum Visionが主催するイベントDANCE INDEPENDENT DAY 2への出演が決まっており、現在LAに拠点を置いている彼らは晴れて初来日を果たした。あいにくLazerdiskのザックは、インタビュー時、悪天候のためLAからまだ飛び立てずにいたが、彼のパートナーであるチャドくん、そして彼の彼女のサラちゃんは台湾を介して来ていたため幸運にもインタビュー当日、実際に会って話をすることができた。
日本が好きということはインタビュー前からチラっと耳にしていたが、日本の音楽について質問を投げかけたときチャドくんが見せてくれた目の輝きには予想以上の情熱を感じた。ダンスダンスレボリューション(DDR)から日本の音楽にハマったと話す彼は一体邦楽のどんなアーティストを聴き込んできたのだろうか?!
初めてLazerdiskを知るもしもしにっぽんの読者たちへ自己紹介をお願い!
チャド: 僕はチャド。ザック・ジョンソンとLazerdiskというDJデュオをしているよ。ザックは空港でいざこざがあって、まだ日本に到着できていないんだけど、こっちに向かえるよう全力を尽くしている最中だよ。
もし自分を絵文字に例えるのなら、何を選ぶ?
チャド: わ!いい質問だね。*考え込むチャド*
彼女のサラちゃん:スマホを出してみたらいいんじゃない?
チャド: そうだね、履歴を見てみればいいのか。
iPhoneを是非参考にして。
チャド: そうだね。一番最近使った絵文字を調べればいいのか。一番使いまわしているやつを。ちょっと待ってね。あ、ハートに矢印が突き刺さっているやつだね。?
本当に?(笑)
本当だよ。冗談抜きで。(笑)
愛情で溢れているってことだね!
そうかもね(笑)でもなんか味気ないね。龍とかだったらよかったのに。
それが一番使っている絵文字だったらすごいね(笑)
もっと使ってあげた方がいい絵文字だね。
間違いないね!話は変わるけど、Lazerdiskのパートナーであるザックとの出会い、Lazerdiskという名前の由来を教えて!
ザックと僕はバーモント州のバーリントンという小さな、小さな町で出会ったんだ。名前は実はふざけてつけたんだ。特にレーザーディスクなんて失敗に終わったテクノロジーだったからね。だけどそれで僕たちも成功せずに終わったら名前の呪いだと思えばいいか、程度で考えてたんだ。
他にもアイデアはあがってたの?
そうだね。実はいまのLazerdiskって原型を縮めたバージョンで、当初はLazerdisk Party Sex (レーザーディスク・パーティ・セックス)だったんだ。これは本当にふざけてた。それで少し短くして、Lazerdiskで留まった。もう少ししたらもっと短くなってLになってるかもよ。ただの一本の線にね。(笑)
Lazerdiskは他のアーティストともよくコラボしていて、過去はLidoやAnamanaguchiのリミックスを、そしてDiploとコラボも果たしているよね。Diploとのコラボは一体どんな感じだったの?
最高だったよ。少し前の話だけどね。ほとんどがネット上でのやり取りだったな。僕たちは当時マイアミに暮らしていて、そのとき彼に会ったんだ。「お前らここに住んでるの?一緒に曲作ろっか?」なんて声がかかってきて「もちろん」と答えるほかなかったよね。
たまたま彼にマイアミで会ったの?
そうだね。ツイッターでまずこっちから連絡をしたんだと思う。「マイアミに住んでるの?」って。そうしたら「そうだよ、お前らも?曲作ろっか?」という流れになった。あっさりだったよ!
とてもカジュアルなやり取りだね。
本当にね。彼はすごく気さくな人だよ。思いがけなくクールな体験だった。いまでもあの出会いには感謝しているよ。
じゃあ実際にDiploの家に行って一緒に作業したりしたの?
彼が泊まっているホテルへ僕らが足を運んだんだけど、彼とても忙しくてさ。携帯をいじりながら僕らに「曲作りたい?そういうの好き?Dropboxある?」って質問を投げかけてきて、「Dropboxは持ってない」っていったら「ダウンロードしな」と言われて、WEB上のやりとりで曲を仕上げていったよ。あの頃も彼とても忙しかったけど、今となってはスーパースターだよね。
コラボが決定したときの心境はどうだった?
めちゃくちゃ興奮してたよ。彼はトレンドを作る人だからね。思いもよらないところから何かを見つけてきて、周りにそれを発信していく。そんな彼の姿勢をとても尊敬していたんだ。自分がリスペクトしてる人がここまでカジュアルに「なんか作る?」なんて話しかけてくることほどクールなことはないと思う。僕らにとっては彼が初めてコラボをした人だったしね。
初めてのコラボ相手がDiploだなんて。
クールな人だったよ。コラボはきっと彼が好んでやっていることだと思う。
そんな奇跡的なコラボをすでに果たしてしまっているけど、いまは亡き人含め、誰とでもコラボをできるフリーパスが与えられたら、誰とコラボする?
わ、それは難しいね。難しいっていうのも、コラボしたい人が多すぎる。一度会ってみて、「わ!キミはなんてクールなんだろう!」って伝えたい人もたくさんいるし(笑)そうだね…*チャドくん考え中*
水曜日のカンパネラかな。
本当に!
うん。今は彼女がとてもドープだと思う。大好きなんだ。
水曜日のカンパネラはどうやって知ったの?
LAに住んでいる僕の友達、ギャレットが「聴いてみろよ」ってオススメしてくれたんだ。そしたら椅子から転げ落ちるほどよくて。
彼女の好きなところを教えて!
そうだね。ビジュアルからビートまで、全てだな。彼女たちをプロデュースしているのが、Nujabesのレーベル(*Hydeout Productions)に所属している人らしいんだよね。それで「嘘だろ?!」と一回おったまげて。そこから調べていってどんどん深みにはまっていった感じかな。コムアイもとってもクールでクリエイティブで楽しそうな子っていう印象を受けるよ。とにかく音楽が最高。
いいね!まさか日本のアーティストがチャドの口から出てくると思わなかった!日本の音楽は結構聴くの?
もちろんだよ。実はダンス・ダンス・レボリューション(以下DDR)が日本の音楽にハマるきっかけだったんだ(笑)。DDR知ってる?
もちろんわかるよ!そこからどうやって広がっていったの?
ラップミュージックも好きなんだけど、実際に音楽を作るとなったときにDDRの音楽にとても感化されていったんだ。中田ヤスタカが作る音楽みたいなんだよね。そこからどんどん日本の音楽もディグるようになって、日本の音楽の不思議な領域に足を踏み入れたんだ。DDRの曲がラジオで流れるっていうことは絶対にないからさ(笑)でもそれを入り口として、Nujabesに非常に感銘を受けてね。あとは日本の作曲家もとても好き。久石譲とか、菅野よう子とか。あとCAPSULEも大好き。彼らにはどハマり中だよ。
じゃあ次は日本のアーティストとのコラボができてるといいね!
本当だね。100%間違いない!それは大きなゴールだよ。
日本以外にも、外国のプロデューサーやアーティストの曲も聴いたりする?
そうだね。好きなヴォーカリストとかはそこまでいないけど、好きなプロデューサーならたくさんいるよ。フランスのPoint Pointなんてたまらないし、ノルウェーのLidoやCashmere Cat、あとはHudson Mohawkeも最高だね。それからRustie。もう世界中にいるね。基本的にネットで見つけるから、彼らがどこの国の出身かあんまり意識しないようになってきたな。でも日本のプロデューサーもたくさん知ってるよ。例えばMasayoshi Iimori。僕彼の大ファンなんだ。あとはTREKKIE TRAX、それからMaltine Records。最高だね。日本は本当に今アツいと思う。
R&Bとかロックではなく、エレクトロを選んだ理由は?
特に弾ける楽器がなくて、コンピューターを先に覚えたからかな。それにエレクトロ音楽ってジャンルとしては幅が広いでしょ?もはやジャンルといったら漠然としすぎるくらい。変なアンビエントな音楽もあればハウスもあるし、その上Aphex Twinもいるし…いい意味で散らばっている。それがよかったんだ。ロックにそこまで執着がないだけかもしれないけど、ロックのほうが制約される気がするんだ。でもエレクトロだと無限に可能性があるような気がして、それがとても好きなんだ。
例えば自分の音楽に自分で名付けたジャンル名がつけられるとしたら、なんてつける?
ジャンルを作り上げるってこと?*チャド、再び考える*僕本当にジャンル得意じゃないんだよ(笑)
じゃあ少し考えておいて。最後にまた聞いてみるね。
オッケー、ありがとう(笑)。
さて今回が初めての東京とのことだけど、感想を教えて!今日の午前2時に到着したって言ってたけど、少しでもどこか行けた?
ファミリーマートくらいかな(笑)
ファミリーマートはどうだった?(笑)
彼女のサラちゃん: 素晴らしかったわ。
チャド: スゴイ。
アメリカのコンビニとは全然ちがうよね。
チャド:本当に!
彼女のサラちゃん:そういえば昨日セブンイレブンにも行ったわ。 食べ物をたくさん買ったよね。
何を買ったの?
彼女のサラちゃん: おいなりさん。(笑)
チャド: あとおにぎりをたくさん。(笑)
おにぎりの種類は幅が広いよね!
彼女のサラちゃん: 本当に。(笑)あとスープも買ったわ。
チャド: あとファミマは、チキンが美味しいってよく聞くんだけど、油を口の周りにつけてインタビューにくるのはちょっと、と思ってまだ買えてないんだ。
日本でやりたいことリストはもう出来てる?
出来てるよ!音楽関連のことをたくさんやりたいというのが一つ。いろんな人と会おうとしてるよ。あとはよくいる観光客みたいで口にするのが恥ずかしいんだけど…ガンダムを見に行きたいんだ。
お台場のね!
そうそう。(照れ臭そうに)絶対クールだと思うんだ。あとは彼女とふくろうカフェに行こうって言ってる。
原宿にひとつあるよ!
チャド: 本当に?じゃあ今日はそれで決まりだな。
彼女のサラちゃん: うそ!ふくろうカフェが一番行きたいところだったの!!*大興奮*
チャド: 行くしかないね。
ここから10分くらいのところにあるよ!
彼女のサラちゃん: オーマイゴッド!
チャド: 彼女はとにかくふくろうカフェに行きたくてさ。
動物カフェは行かないとね。
そうそう。あとは何人か友達が東京にいるから、会って一緒にサウンドヴォルテックスをやりたいと思ってる。日本のゲーセンにあるゲームなんだけど。アレはやばい。
LAにもゲーセンはあるの?
ひとつずば抜けていい所があって、ラウンドワンからゲーム機器を仕入れてるんだ。
ラウンドワンから!
そう、東京にある?「新ゲーム導入!」なんて言ってラウンドワンから新しい機械がどんどん送り込まれてくるんだよ。こっちのサーバーと繋がってるみたいで。とってもクール。
それは自宅から近いの?
そうだね、車で30分くらいかな。歩いてはいけないけど、あそこの品揃えはたまらないね。LAでAnamanaguchiが初音ミクとライブをしたことがあって、そのときに日本の友達に知り合ったんだ。彼はサウンドヴォルテックスの王者だね。早く彼とそれで遊びたいよ!
楽しそうだね。渋谷とか新宿はゲームセンターもたくさんあるし、きっと楽しめるはず!
最高だね。僕を見つけたければゲーセンを覗いてみて。
Lazerdiskの次なるステップを教えて!
とにかくたくさんの音楽を作ってる最中で、リリースの仕方もうまく工夫して出そうと思ってる。
もっと詳しく教えて欲しい!
まだ言っていいかどうかわからないんだけど…
いまちょうどプラットフォームを作り上げているところなんだ。デジタルリリースにするんだけど、Soundcloudにポンと載せるだけではなく、音楽の聴き方を最大限に引き出せる方法を考えてる。ただ公開して聴いてもらうだけではなくて、もう少しインタラクティブにできるように何人かと話を進めてるよ。面白い出来になると思う。
ますます気になる!リリースはいつ頃を予定しているの?
チャド:半年から9ヶ月後くらいかな。1年以内には必ず。
このアイデアも、僕が「こういうことがしたいんだ」って投げかけたら「オッケーできるよ!」ってすぐに返ってきたんだよね。コーディングとかが僕にはさっぱりだから、どうやって実際にこれが実現されるのか僕には全く理解不可能なんだけど。魔法みたいんだよね。
彼女のサラちゃん:夢のようよね。
チャド:そうそう。とにかくいま計画を練っていることが形になれば、とてもクールなものが出来上がると思ってるよ。あとはAnamanaguchiやRhytmeklubbenともいくつかプロジェクトを進めている。
Rhytmeklubben (リットマクルーベン)もノルウェー出身なんだけど、抜群のセンスの持ち主だよ。あとは他のアーティストのプロデュースにも関わりたいと思っているところ。僕たちに毎回焦点を当てる必要は全くないからね。気になるアーティストと連絡をとって、彼らを育てていくようなことも今後はしていきたいと思ってる。
それでは今週土曜日、SOUND MUSEUM VISIONに来る人にメッセージを!
きてね!(笑)
そして最後にジャンル名を!
僕らのジャンル名はzone tones (ゾーントーンズ)だね。決まり。
Zone tonesの意味は?
陶酔するような音楽で、たくさん音色があるってことで(笑)
Lazerdisk
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イベント詳細:
6/25(SAT)
『DANCE INDEPENDENT =DAY2= 』
/ DEEP SPACE feat. Ray-Van /
GUEST
Lazerdisk
[RESIDENT]
副島ショーゴ(T.U.S.) / Fumihiko Chiba / SAKURAI MAKOTO(Dragon Ash)
[LINEUP]
YASUKI / Takashi Koga / Nao Ogura / TaiGa / YUHI / 2crazy / SAKO / CHARU …and more!!!
OPEN 22:00 ¥2800 ADV ¥3500 DOOR