表現者、三森すずこの底知れないパフォーマンスと裏付けされたヒストリー

10.August.2016 | MUSIC

声優デビューを果たしてから、めきめきと力をつけ進化し続けてきた、三森すずこ。昨年のNHK紅白歌合戦で魅せた、アニメ「ラブライブ!」で結成された女性声優ユニット、「μ’s(ミューズ)」の華々しいパフォーマンスは記憶に新しいのではないでしょうか。

今年は、東南アジア最大のJ-POPカルチャーの祭典「Anime Festival Asia Thailand 2016」にソロとして出演することが決定。活躍の場を国内外問わず、ますます広がっていく彼女の魅力に迫ります。

 

 

挫折から見つけ出した「好き」な道

アニメ「探偵オペラ ミルキィホームズ」のシャーロック・シェリンフォード役を声優デビュー作として務めたのは2009年のとき。それまではミュージカル女優として、表現の場を舞台に置き、学生の頃から抱いていた夢に、一直線に努力し続けたといいます。

 

 

小学の頃から習い始めたバレエにより、ステージに慣れ親しんできた彼女の一度目の転機は、中学生のときに訪れます。「タカラジェンヌ」に憧れて声楽を勉強するも、結果は不合格。「ミュージカル劇団は宝塚だけじゃない」と気持ちを立て直し、一転、ミュージカル女優を懸命に目指します。

 

高校時代ではミュージカル部に所属し、ジャズダンスやタップダンスのスクール、ボーカルのレッスンに通うなど、音楽三昧の日々を送り、高校卒業後は本格的にミュージカルの世界へ飛び込みます。しかし、プリンシパル(主役級キャスト)にはなかなか手が届かず、苦戦する毎日。

 

そんな時、彼女を支えたのは、がんばり続ける強い意志と、負けず嫌いな性格、そして、何よりミュージカルが「好き」というシンプルな気持ちだけだったようです。

 

ファンが教えてくれた道しるべ

やがて努力が実り、主演のミュージカルを獲得しはじめた頃、二度目の転機が訪れます。それは、来場していた現プロダクションの社長がもたらした「声優をやってみませんか?」という問いかけと、運命的な出会いでした。

 

戸惑いながらも、演技の勉強になると考えた彼女。思い切ってチャレンジしてみたものの、アニメもゲームも皆無だった彼女は、まったく違う世界に飛び込むことにより、再び苦悩する日々を経験します。

 

アニメ「探偵オペラ ミルキィホームズ」の出演声優で組んだユニット「ミルキィーホームズ」は、アイドルともミュージカル女優とも違い、まさに新しい舞台表現者であり、これまで培ってきた自分のキャリアに自分の気持ちが追いつかない事態を招いたようです。

 

 

しかし、持ち前のがんばり続ける意志を貫き続けることで、同ユニットを好きになってくれるファンの数は拡大、ついにCDデビューを実現させます。 以降、毎年「Animelo Summer Live」に連続して出演し、2012年にはユニット初の武道館ライブを行うなど、偉業を次々と成し遂げるなか、改めて、声優の仕事に心から魅力を感じ始めます。「観たいと思っているファンがいてくれるだけで幸せ」と肌で感じとった瞬間は、声優になって4年後のことでした。

 

新たな表現者として

2013年4月には功績が実り、シングル「会いたいよ… 会いたいよ!」でソロデビューをします。同7月には2ndシングル「約束してよ?一緒だよ!」を発表、10月には初のアニメ主題歌「ユニバーページ」を務め、2014年4月には1stアルバム「好きっ」をリリースさせるまでに躍進。

同年に「ラブライブ!」の劇中ユニット「μ’s」の園田海未役としてさいたまスーパーアリーナで2DAYS公演を成功させ、そして自らも1st LIVE TOUR 2014「大好きっ」を実現。

ミュージカル時代に培ってきた、迫力あるパフォーマンスと歌唱力が開花し、声優だけにとどまらない、彼女ならではの表現の形を年々実らせていきました。

 

2016年現在では、初の全国ツアー、Mimori Suzuko Live Tour 2016“Grand Revue”がスタートし、ツアー最終日には武道館でのライブが決定しています。また、シングルは6作目「Xenotopia」までおよび、アルバムに至っては3rdアルバム「Toyful Basket」発売を9月7日に控えています。

 

 

そして、いよいよ来たる「Anime Festival Asia Thailand 2016」では、日本を代表するアーティストとして、その力を大いに発揮することが約束されています。

 

2008年にシンガポールからスタートした「Anime Festival Asia」。昨年、シンガポールでは約9万人の来場者数を記録し、開催国を拡大させるなど、J-POPカルチャーを代表するイベントとして成長してきました。

 

名実ともに東南アジア最大規模を誇る本イベントへの出演は、昨年に続き、単独では2回目。勢力的な音楽活動はとどまることなく、2016年も駆け抜けていくはずです。 声優、女優、歌手と、さまざまな役や歌に生命を吹き込んできた三森すずこ。今後、どんな彼女が生まれ、何を発信していくのか、新しい表現者のまだ見ぬ息吹をこれからも追い続けます。

 

文:杉田直子(SHUTTER)

三森すずこ オフィシャルWEBサイト http://mimorin.com/

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