「まさか、そんなことはないだろう」と考えている隙にロボットが自分の生活を乗っ取ってしまっているかもしれないよ。

ロボット、そしてAI（人工知能）の発展は決して留まることなく、私たちの目に見えるところでも見えないところでも、グングンと成長を遂げている。その成長っぷりは、コンピューターでもできてしまいそうな手作業を職にしている人にヒシヒシと焦りを漂わせる恐ろしさを持ち合わせているのだ！英オンライン誌ザ・ガーディアンによると、2040年には75%の自動車が自動で運転をしてくれる運転手なしのものに変換される、と大きな発達を推測。またFast Companyは、現在存在する職の47%はロボットの手によりこなされてしまうことを予測している。じゃあ何をしてお金を稼げばいいの？というワケで、評論家が挙げる生き残る職は、人間特有の創造性を生かした仕事 − 例えば教育、介護、そしてアートにまつわるお仕事らしい。反対にデスクワークや工場での肉体労働は次第にロボットの手に渡ってしまうかもしれないというのだ。だからといって人間みんな職なしになってしまうというワケではない、と評論家たちはポジティブな考えをお持ちなので少し安心。解決案としては、現在存在しない、新たな職が生まれるというのだ。ただ、その職がどのようなものなのか、応募するためにはどのような条件が必須なのか、果たして本当に新たな職が見出されるのか、詳細はとりあえず今のところ不明である。どの道、我々が今後ロボットと共存していくことは目に見えていて、仕事場で今以上にロボットが腕を発揮していくことは確かだと言っていいだろう。

ロボットが人間の作業を乗っ取っている様子が垣間見える場所となっているのは、昨年の7月に長崎県のハウステンボスに誕生した変なホテル。先進技術を導入しながら、ワクワクさと心地よさを提供するホテルとしてハウステンボスの社長である澤田秀雄が考案した新感覚ホテル。変なホテルの従業員数は少人数の30名からスタートし、今では10名へドロップダウン。さらに年末までに4名をカットし、計6名にするのだとか。気になるロボットの数はというと、82体から182体に増加。もはやロボットに任せっきりの宿泊施設と化している。先進技術が導入されていることは上記統計値でなんとなく感覚が掴めるが、ワクワク感がどこにあるかというと、まさに「へんな」ロボットを起用しているところから見える。だってフロントを仕切っているのは、英語も日本語も対応可能の恐竜なんだもの。その横には、まあホテルで見かけたことのあるようなキレイ系の女性。こちらもロボット。さらにはデスクに乗せられる小サイズのロボットの三体が宿泊者をお出迎え。

出典: The Guardian

荷物もロボットに預けちゃえ！コインロッカーと同じような仕組みとなっているこちらの荷物管理スペース。コインロッカー式のほうが早いんじゃない？なんて突っ込んではいけません。ちなみに似たような技術がニューヨークのハイテクホテルと謳われるYotelでも起用されている。

出典: The Guardian

近年実は、この変なホテルのようにハイテク技術を導入しているホテルが世界の至るところにどんどん登場している。例えば、宿泊者が部屋にいれば、勝手に体温を察知し部屋の温度を調節してくれる機能を備えるシカゴのザウィット。エレベーターに乗り込んだ人数を察知し、その人数に合った音楽を流してくれるシドニーのQTシドニー（一人で乗り込むと、エルビス・プレスリーのしっとりソング「Are you lonesome tonight (今夜はひとりかい？)」が流れるらしい）。だけれど、変なホテルの奇想天外さに比べるとちょいと物足りない気がしてならない。これを見ると、やはりロボットをド派手に起用するところに魅力があるのかもしれない。

それはそうとも変なホテルのロボットのご遊戯はフロントや荷物運びで留まるワケがなく、宿泊部屋でもしっかりと役割を果たしている。宿泊部屋をiPhoneで解錠する機能は世のホテルでも少しづつ導入されているが、顔認識で解錠できる機能を導入しているのは、いまのところ変なホテルのみ。そんなハイテクな機能を使って解錠し、部屋に足を踏み入れるとチューリップによく似たロボット、ちゅーりーちゃんがあなたをおもてなし。お部屋の中には電気のスイッチはないので、これはちゅーりーちゃんに任せて。明日の天気から、アラームの設定までまるっとあなたをお助けしてしまうコンシェルジュロボットがいるからには、お部屋の中にいても、ロボットで仕切られたホテルにいることを忘れさせない。

出典: The Telegraph

なんとこの変なホテル、第二棟が2017年の3月下旬に舞浜にオープンすることが先日発表されているのだ。これで長崎までなかなか足を延ばせない都民もこの不思議な宿泊を体験できるので乞うご期待。

そんな第二棟の誕生がめでたく発表されているが、オープン時期の3月末まで半年ほどある。ロボットと今すぐ触れ合いたいと思っている好奇心旺盛のキミにとっては、さすがに長いだろう。というワケで、待っている間に現在のロボットの進化がいかほどなのかこの目で確かめられる施設といえば、日本科学未来館。中でも真っ先に向かっていただきたいのが、「未来をつくる」という常設展。ここでは、大阪大学の特別教授をしているロボットのエキスパート、石黒浩が監修したアンドロイドたちに会うことができる。2014年にお披露目されたのが、コドモロイド®、オトナロイド®、そしてテレノイド®。

テレノイド® (出典: Pinterest)

左:コドモロイド®, 右:オトナロイド® (出典: Huffington Post)

腕があるようでない、やや不気味なテレノイド®は、テレビ電話の役割を担ってくれる遠隔操作型のコミュニケーションアンドロイド。スカイプの誕生で遠くに離れていてもお互いの顔を見ながら通話することが可能となったが、テレノイドを通して会話をするとその一歩先をいき、相手の「存在感」をより感じることができるという。未来館ではテレノイドを抱えることもできるので、テレノイドから伝うぬくもりを是非肌身で感じとって欲しい。同スペースにいるおかっぱの髪型をした純粋無垢なコドモロイド®は、石黒氏の「子供がニュースを読み上げたら面白いのではないか」というアイディアをもとに作り上げられた、天才アンドロイドアナウンサー。いくつもの声の音色を引き出しに秘めている上、多様な言語でニュースを24時間365日発信し続けてくれる。そして未来館の三つ目のアンドロイドであるオトナロイド®は、普通の人間のように対話ができるアンドロイド。瞬きから、目の動かし方まで緻密な構造が施されており、まるで生きているのではないか、とゾっと鳥肌が立ってしまうかも。

日本のロボット技術が進んでいることは世界も了承済みだが、中でも最先端をいくロボットとそうでないものがある。例えば、日本はコンパニオンロボット（対話型ロボット等）には長けているものの、軍用ロボットだと海外に比べまだ衰える部分があると石黒氏は語る。その国の必要性にも関連しているように思える結果である。実は未来館にいる対話型ロボットの他にも、人間特有の温かみを提供してくれるロボットが日本では数年前からポツポツと登場している。例を挙げると、セラピー用アザラシ型ロボットPAROは触れるものにポジティブな感情をもたらしてくれることが証明されている癒し系ロボット。超キュートなPAROちゃんは2005年に日本国内で一般発売され、いまやデンマークをはじめとするヨーロッパ国の介護施設に導入されている。日本でも1,300ほどのPAROが介護施設で愛用されている。

PARO (出典: Inquisitr)

なんていったって2020年の東京オリンピックでは、ロボットの技術を競わせる大会を開こうと安倍首相がほのめかしているし、ロボット事業拡大戦略によると、ロボットに注がれる金額が2兆円ほどに昇ることが公表されているのだから、ロボットや人工知能に注がれる力がますます強化されるのに違いはない。こういった発想がまだそれとなく物珍しく感じられているまだまだアナログないまを存分に楽しんでおいたほうがいいのかもしれない。少子高齢化問題の救い手は、ひょっとすると、ロボットの存在かもしれないのダ。