「古着が好き」というと、時折こういうイメージがついてくる。ファッションに詳しい。こだわりが強い。変わったものが好き。だけど、本来はそうじゃないはず。
詳しくなくてもいいし、欲しいものが明確でなくてもいい、スタンダードなものを求めたっていい。初めてだってもちろんいいのだ。
古着は、誰がどれを手にとってもいい。そんなメッセージを込めて、長年古着屋を経営しているお店がある。「Santa monica(サンタモニカ)」だ。
何年も昔から、古着のメッカとされてきた街、原宿。遊歩道を抜けた所にお店を構えるサンタモニカ原宿店は、初のレディースオンリーの店舗としてオープンした、37年続くサンタモニカの中でも1番新しいお店。
白を基調にした拓けた店構えと、大きな看板。コンセプトは「綺麗に着られる古着」。古着屋さんには珍しく、3割の割合で新品も取り扱っている。
オリジナル商品やリメイクアイテムなど、「古着」というイメージを飛び越えたアイテムを楽しめるお店だ。
店先から中を覗くと、“乙女のアンテナ”が刺激された。「かわいい!」
本能にかなり近い感覚で、そうキャッチする。店長の武田さんにディスプレイの工夫を訪ねてみた。ジョッパーズパンツに、黒のメキシカン風チュニック。
まさに、大人な古着の着こなしを絵に描いたような、クールで素敵な人だ。
「女性って着るもので暗めの色を選んでいても、直感的に華やかな色、愛らしい色に惹かれる気がしていて。食べ物でいうと、食欲が増す色っていうのかな。そういった感覚ですね」
かっこいい着こなしをしている武田さんが言うと、より説得力があった。
このアンテナは、私たち女には永久的に備わっているものなのだろう。
それは、幸せでかわいい刺激。
「古着が元々お好きだったんですか?」
10年サンタモニカで働く武田さんに、素朴な質問をぶつけてみた。
「入ったばかりの頃は、人と違うものが好きくらいの感覚でした。でも、古着をより深く知れるようになって、その良さが本当の意味でわかってきた気がします。今ある新品の洋服の中にも、古着のデザインが元にされている物があるなぁとか。それなら元になっているものを着てみようかとか」
武田さんの言葉に、古着の横顔を見た。
そうだ、古着は、過去のある地点の“今”の服。そういう顔も持っている。
“今”が昔になって、また、巡って“現在(いま)”に再起する。
ファッションにおける時代が、巡り巡ってまたやってくる物だとしたら、
たしかに、元祖を着てみるのもいいかもしれない。
お店で一際存在感を放つ、大充実のアクセサリコーナーについても語らずにはいられない。古着屋さんのアクセサリはヴィンテージ物で高いというイメージを持っている人にこそ、ぜひ覗いてほしいラインナップ。
大人っぽいもの、ポップなもの、数百円から買えるもの。
「ザ・ヴィンテージっていうものから、セレクトで買ってきたもの、パーツを買ってきて自分たちで作っているもの、いろいろあります。何でもいいので、来てくれる人に1つでもハマる物があればいいなと思って…。高いものじゃなくてもいい。前、ここで何か買ったなって、そんなささやかな記憶を残せたら」
古着は人を選ばない。
だから、古着を知らない人にこそ、覗いてほしい。
自分の選ぶものにちょっとしたストーリーが欲しくなったら、聞いてみよう。
デザインだけでない、あなたの“今”にこの服が巡ってきたという縁、知らなかった遥か遠い国の歴史。
古着には、目には見えないロマンティックが宿っている。
そのロマンティックな物語、続編はあなたが作る。
Source:She magazine
■Information
Santa monica原宿店
住所:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前4−25−5
電話番号:03-5474-1870
営業時間:1100
休み:なし
HP: http://www.harajuku-santamonica.com
—