東京には浅草や銀座、原宿など、外国人観光客に人気のスポットが点在しているが最近、世代を問わずに「ディープで楽しい」と注目を集めているのが“中央線沿線”。東京の住みたい街ランキング上位にかならずランクインする吉祥寺やサブカルチャー好きにとって“聖地”と言われる中野、高円寺。普段使いできる上質なレストランが多い西荻窪など、日本人にとっても魅力的な街が多いように思う。中央線沿線には個性派レストランやひとクセ、ふたクセある酒場も充実しているが、今回は外国人客も「本場以上のおいしさ!」と唸る店を2店舗ご紹介したい。
1軒目は吉祥寺にあるロシアとグルジア料理専門店「カフェ ロシア」。人気メニューは、ビーツの色味も美しいボルシチやオーダーが入ってから焼き上げるピロシキ。発酵させたハーブに1~3日漬けこんだ鶏肉を焼いたタバカ、鮭や玉ねぎがたっぷり入った魚料理のウハーなど、ロシア料理の本当のおいしさを実感できる逸品が揃う。現地で料理を学んだ日本人シェフをはじめ、ウクライナやロシア出身のスタッフ(日本語が達者!)によるサービスも心地よく、ひとりで訪れてもゆっくりと食事を楽しむことができる。
2軒目は、中野のブロードウェイ裏にある「ビア ホイ チョップ」。“ビアホイ”とはベトナムで人気の大衆酒場のことで、現地の料理人から習ったというレシピを使ったメニューが豊富。系列店に「ビンミン」というハノイで人気の焼鳥店の日本支店があるため、秘伝のタレが香ばしいベトナム風焼鳥も美味。レモングラス鍋やバインミーなどおなじみメニューを気軽に楽しめるのも嬉しい。中央線沿線には外国人も認める“本場の味”が、まだまだたくさん。散策しながらお気に入りの店を見つけるのも楽しい。
■Information
カフェ ロシア
住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町1-4-10 ナインビル B1F
ビア ホイ チョップ
住所:東京都中野区中野5-53-1 栗原ビル 1F
小寺慶子(フードライター)
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実は東京には「フレンチ」や「蕎麦」などと並んで、「予約の取れないレストラン」というジャンルがあるのです。このジャンルの愛好家は何よりも優越感を大事にする傾向があり、予約の獲得に全てをかけます。まず出来る限り店を押さえ、その後にSNSなどで参加者を募ります。ゆえに当日集まった人のほとんどが初対面、ということだって頻繁に起こるのです。こういうグループが人気店を回遊することで、より予約は困難になり、店の名声は上がります。しかし果たしてこの連鎖がいつまで続くのかは神のみぞ知る、といったところでしょう。
具体的にどういうお店があるのでしょう。まず、紹介しか不可という難攻不落のお店群があります。浅草にある「鷹匠壽」は日本一と称される野鴨が食べられますが、紹介者と一緒でないと入店できません。肉ブームの発端ともいわれる銀座のステーキ店「かわむら」も、今では一見さんが入店するのはほぼ不可能。こういうお店に入るのは何かの幸運を待つしかないでしょう。
予約困難の代名詞ともいえるお寿司屋さんの場合は、なんといっても席数が少なく、しかも来た人がその場で次回の予約を取ったりするので、誰でも予約できる代わりに極めて獲得は難しいのです。例えば有名な「三谷」。私が前回うかがったのは2014年の7月でしたが、その場で予約を取ったにも関わらず、次回は今年の秋。3年待ちです……。
最近では去年夏にオープンした「東麻布 天本」は、昨年末の時点ですでに今年の予約はいっぱいに。予算が3万円以上するにも関わらずです。日本はまだまだ元気です。
そしてもうひとつ、努力すれば取れるお店群もあります。予約受付日を決めているお店です。湯島にある100年を超える歴史を持つ鳥鍋の名店「鳥栄」は、奇数月の1日午前8時から電話予約を受け付けています。
都心から離れ、しかも駅から20分近く歩かなくてはならない「トラットリア・ラ・マルゲリータ」は、次回の予約は2017年6月18日の午後1時から。これはなんと、2018年1月から6月分の予約だそうです。私は先日、幸運にも知人が6時間電話をかけ続けて取った席にうかがえました。状態のいい高級ワインがほぼ半額ほど。料理もこだわり抜いた素材を店主曰く「命をかけて」料理しているだけあって、素晴らしいものでした。しかもお値段はひとり8千円程度。やはり予約を取れない店には確たる理由があるのです。
どうぞ皆さん、いい友と幸運を!
■鷹匠 壽
住所:東京都台東区雷門2-14-6
URL:https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131102/13003661/
■かわむら
住所:東京都中央区銀座7-3-16 東五ビル1F
URL:https://tabelog.com/tokyo/A1301/A130101/13016506/
■三谷
住所:東京都新宿区四谷1-22-1
URL:https://tabelog.com/tokyo/A1309/A130902/13042204/
■東麻布 天本
住所:東京都港区東麻布1-7-9 ザ・ソノビル 102
URL:https://tabelog.com/tokyo/A1314/A131401/13196420/
■鳥栄
住所:東京都台東区池之端1-2-1
URL:https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131101/13003595/
■トラットリア・ラ・マルゲリータ
住所:東京都大田区西六郷2-39-5
URL:https://tabelog.com/tokyo/A1315/A131503/13193685/
大木淳夫(「東京最高のレストラン」編集長)
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愛知県の玄関口である名古屋駅にある大名古屋ビルヂングが今年リニューアルオープンしました。NEW大名古屋ビルヂングのお得なランチめしをご紹介します。
・YURT
YURTは、大名古屋ビルヂング2Fにあるカジュアルカフェです。元々は、神戸発信のカジュアルカフェが名古屋初出店として大名古屋ビルヂングにオープンしました。
ランチタイムは、平日、休日問わず、ほぼ満席で、女性を中心に人気カフェの一つになっています。
気になるランチは、プレートランチ、鉄板ハンバーグランチ、鳥の唐揚げプレートなどボリューム、栄養満点のプレート系ランチが多いです。SNSの投稿、周辺のお客さんが結構頼んでいた鉄板ハンバーグを注文しました。席に運ばれてきた時、鉄板がアツアツで香ばしい匂いがたまらなかったです。ボリュームのあるランチにはドリンクバー付きで、食べ過ぎの胃に優しいデトックスティーなど数種類用意されていました。友人を連れてきたくなるカフェですね。
・E・A・T AOYAMA
E・A・T AOYAMAは、東京の青山で有名なカリフォルニアバーガーショップです。こちらの名古屋初出店として大名古屋ビルヂングにオープンしました。外観は、ビル店舗ということもあり、他の店舗とは違う、雰囲気があります。
注文したハンバーガーの第一印象は、普通のハンバーガーとはバンズや食材が違い、ヘルシーな感じでした。どのメニューも1000円前後で、ドリンク、ポテト付きでお腹いっぱいになりました。ここも女性客が非常に多く、ハンバーガーを一個まるまる食べてしまうので、すごいですね。
■YURT
住所:愛知県名古屋市中村区名駅3-28-12 大名古屋ビルヂング2 F
■E・A・T AOYAMA
住所:愛知県名古屋市中村区名駅3-28-12 大名古屋ビルヂング B1F
食べメン(ライター)
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世界で一番、ミシュラン三ツ星店が多い美食都市TOKYO。それだけに、本当に様々なお店があります。今回は、中でも外国人観光客に大人気の和食屋さんをご紹介しましょう。お店の名前は「傳」(でん)。アジアベストレストランにもランキングされていて、2016年の12月に神保町から神宮前に移転しました。
若き店主の長谷川氏は、とにかくお客さんに喜んでもらうことが大好き。それだけに、コースにはサプライズが溢れています。
まず最初に供されるのがご覧の一品。日本伝統の和菓子「もなか」そのものの外観ですが、実はこちら、フォアグラのサンドなんです! 頻繁に海外のイベントに呼ばれるご主人のインスパイアで、その時々でフォアグラと共にサンドされる食材は変わるので、何度食べても驚きがあります。
そして、それ以上に有名なのがこの「デンタッキーチキン」! クリスマス、まかないを食べながらの雑談中に閃いたという一品は、遊び心満載。オリジナルが世界的に有名なだけに、どの国の人も喜んでくれるとか。ちなみに、写真は長谷川さんの顔ですが、特別なときには、お客さんの顔写真にすり替わっている場合もあります。揚げた手羽の中に、季節ごとの詰め物が入っていて、こちらも美味。
刺身や椀物のクオリティも高い上での楽しさですから、心から充実した時間を過ごせます。海外から訪れる理由も、「友達が最高って教えてくれた」などの口コミが一番多いというのもよくわかる気がします。
伝統的なジャパンももちろんいいのですが、ぜひ最先端も味わってみてはいかがでしょう。
■傳
住所:東京都渋谷区神宮前2-3-18 建築家会館JIA館 B1F
大木淳夫(「東京最高のレストラン」編集長)
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日本の冬の食卓に欠かせないものと言えば鍋。地方に伝わる郷土の味から、豪華食材を盛り合わせたハイブリッド鍋まで、その種類は無限だが、暑さ寒さ関係なく年中無休で食べたくなるのがしゃぶしゃぶだ。外国人にも「和食」として広く認知されているしゃぶしゃぶ店のなかでも、今回は「気軽に日本の食肉文化を楽しめる」「コストパフォーマンスが抜群」と評判の店をご紹介しよう。
1軒目は、若い世代を中心に人気を集める『モーモーパラダイス歌舞伎町本店』。1993年に歌舞伎町に1号店が誕生し、現在は世界で40店舗を展開するグローバルレストランだが、昨年、歌舞伎町の店をリニューアルし、空間もぐっとシックな雰囲気に。肉は提供時間に合わせて1枚1枚カットし、しゃぶ出汁は、厳選した牛テールから抽出、ポン酢やごまだれも無添加のものを使うこだわりぶりだが、契約農家から仕入れる新鮮な野菜をワゴンで提供するスタイルもユニーク。
白菜や水菜、レタスといった定番に九条ネギやパプリカ、ミニトマトも。肉と野菜が食べ放題になるスタンダードコースが2000円からというのは、あっぱれだ。
2軒目は12月にオープンしたばかりの『出汁しゃぶ おばんざい おかか』。「心行くまでお出汁を食べる」というコンセプトのとおり、着席するとまず削りたてのふわふわおかかが登場。この店でかならずオーダーしたいのが名物の出汁しゃぶ(\1,980)だ。
鍋に張られたお出汁のなかに、たっぷり“追いおかか”を加え、さっと食材をくぐらせて食べれば、口の中に上品な出汁の香りが広がる。追加の肉は\880、締めの蕎麦は\500と良心的な価格設定ながら、味は本格派。ヘルシーで仲間とわいわい楽しめるのも鍋料理の魅力。カジュアルなしゃぶしゃぶ店で気軽に日本の食文化を満喫してみて。
■モーモーパラダイス歌舞伎町本店
住所:東京都新宿区 歌舞伎町1丁目20-1 ヒューマックスパビリオン新宿歌舞伎町 8F
■出汁しゃぶ おばんざい おかか 新宿
住所:東京都新宿区 歌舞伎町1-16-3 新宿スクエアビル 8F
小寺慶子(ライター)
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新宿にある古い酒場ストリート「ゴールデン街」や「思い出横丁」など、ひと昔前だったら、よほどの酒呑みしか行かなかったようなディープエリアにも、外国人観光客が増え、どんどんその敷居は低くなってきている。とはいうものの、いきなりアングラな横丁に繰り出すのは、不安。という方におすすめなのが、吉祥寺「ハモニカ横丁」。
ここも他の横丁と同じく、戦後闇市を起源とする酒場街ではあるものの、若人でも入りやすいカフェ兼酒場ができたことで、これまで横丁に縁のなかった人たちも来訪するようになった。
まずは、さくっと気楽に入れる「ハモニカキッチン」。女子ランチ会でもひとり酒でも楽しめるカフェ兼酒場。ホッピーもあればシャンパンもある、そんな折衷酒場で、軽くアペリティフをいただいて、さらに奥地へと分け入る。
ニューフェイスの立ち呑みおでん屋「いろは」で、彩り鮮やかな小皿酒肴をつまんで、前割り焼酎を。若い店主が切り盛りするバルのような明るい店で、本場鹿児島と同じく、前もって焼酎を水で馴染ませてある前割りが呑めるこの素晴らしさ。同じハモニカ横丁にあるおでん種屋・塚田水産製のおでんでほっこり身体を温めたところで、老舗酒場「ささの葉」へ。
新鮮美味なるボリューミーな刺盛りをつまみながら、高知の銘酒「司牡丹」。「ハモニカキッチン」や「いろは」とは違う、横丁のヌシのようなコアな客層なれど、イチゲンさんでもきちんと礼節をわきまえていさえすれば、歓迎してくれる酔き酒場。
若人向けのオシャレな酒場から、玄人ご好みの渋い酒場まで、そのバリエーションは豊富。実に懐の深い酒場街でもある。
■ハモニカ横丁
住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町1-31-6 ムサシノ第1ビル
倉嶋紀和子(「古典酒場」編集長)
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京都の店は総じて高いという印象を持たれている方も多いのではないだろうか。
確かに、京都は東京、神奈川に次いで物価の高い町なので、観光地などで食事をすると、高いと感じることも多いかもしれない。
だが、お手軽な店も結構ある。京都の繁華街のど真ん中で、安くて美味しい店をご紹介しよう。新京極通から河原町通への横道にある「京のおばんざい、旨い酒、美味しい定食」の「京おばんざいダイニング高山」。
京都は早く店じまいする店が多い中、夜の11時まで営業しているので、定食だけでなく、おばんざいをつまみながらお酒を飲むのにも重宝だ。旨い地酒も楽しめる。
写真の定食は「ハンバーグ・若鶏の唐揚定食」(780円)。ハンバーグと唐揚の2種類の肉料理が味わえる大人気のメニューだが、ハンバーグは肉厚でソースもたっぷりめでしっかりとした味わいだ。唐揚もからっと揚がっていてうまい。
これだけでも十分なボリュームでお腹いっぱいになるのだが、「ご飯とお味噌汁はおかわり自由」なのもありがたい。780円、880円などの安い定食のメニューや一品料理のメニューが数多く揃っている。
まずお酒を飲みたい時には、お酒とおばんざいのセットの「おつかれさまセット」(1000円)がおすすめだ。お酒一杯(生ビール中又は日本酒又は焼酎)に、酒肴(揚げ物又は串)、小鉢(和え物などすぐに出せるもの)、今日の一品(焼き物又は煮物又は炒め物)が付く。
覚えておくと便利な店だ。
■京おばんざいダイニング高山
住所:京都市中京区新京極通三条下る松ヶ枝町457-3
Maki(ライター)
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年末年始は友人や家族との集まりが増えるものだが、気の置けない仲間と盛り上がるなら、カジュアルな酒場がおすすめだ。
肉料理に特化した店がビルのワンフロアに集結し、それぞれの店舗を行き来できる『渋谷肉横丁』は国内最大級の“肉のテーマパーク”。昭和レトロな雰囲気のなか、バラエティ豊かな肉メニューが楽しめるとあって、外国人観光客にも人気だという。
ステーキに唐揚げ、ホルモン、シュラスコなど店によって看板メニューもさまざまだが、よりユニークな肉料理を堪能したいのならば『肉横丁』の上階にある『離』を訪れたい。富士山溶岩焼肉や熟成肉、串焼きが楽しめる『まえ川』のイチオシはTボーンステーキ(300g・\3,180)。
ヒレとサーロインを1度に味わえる熟成肉でお腹を落ち着かせたら肉寿司が人気の『やっぱ』でうにく(2貫・\680)をオーダー。濃厚なウニと口のなかでとろけるような炙り牛のコラボレーションに思わず悶絶!
肉汁が溢れる肉団子の天ぷら(980円)にお酒もすすむ。元和食の料理人が考えた料理が揃うのが『居酒屋 肉広場』。
やわらか和風スペアリブ(2本・\1,180)に豪快にかぶりつけば、お腹も心も大満足。個性豊かな肉料理に合わせるなら、ビーフィータージントニックをアレンジした肉専用サワー『ジントニ!!』がおすすめ。
レモンの爽やかな風味、ブラックペッパーのピリッとした刺激がクセになり、気が付けばほろ酔い気分に。コストパフォーマンスが高く、テンションもあがる肉体験がヤミツキになること間違いなし!
※未成年(20歳以下)の飲酒は法律で禁止されています。
■渋谷肉横丁
住所:東京都渋谷区宇田川町13-8 ちとせ会館
小寺慶子(ライター)
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居酒屋呑みの楽しみ方のひとつに、路地裏にある横丁のはしご酒がある。東京にも吉祥寺「ハモニカ横丁」や渋谷「のんべい横丁」、赤羽「OK横丁」など、酔い横丁があるが、今回は、その中から、新宿・西口にある「思い出横丁」をご紹介。
賑やかに電飾されたゲートをくぐると通りのど真ん中に位置するうなぎの串焼き「カブト」。ここは路地がちょうどクランクになっている場所で、まさしくランドマーク的酒場にもなっている。オープンエアー式に開け放たれたカウンター席には早い時間から呑んべえさんたちが鈴なり。ここでは、まずは「ひととおり」を頼むのがベター。そうすると、エリ、ヒレ、肝などうなぎの各部位7串が自動的に出て来る。それらをつまみにキンミヤ焼酎をぐいっとあおったところで、アペリティフ、終了。
お次は、「つるかめ食堂」へ。昔から腹ペコ学生たちのお腹を満たしてきた食堂、当然、がっつりメシが食える。「バカでアホでフラメンキン」やら「バカコンポジャ」などのおもしろネーミングの酒肴をつまみに、酎ハイぷは~っ。ここでのあたしのお気に入りは「ソイヘッド」。大豆をカレー味に仕立てた酒肴は、ちょいちょいっとつまむのにもってこい。
がっつりメシにちょいつまみ酒肴でお腹が満たされたところで、〆の酒。地下へ通じる階段を千鳥足でおりていくと、そこには「みのる」。昭和の香りがぷんぷん漂う老舗バー。ここでおふくろ的ほっこりお通しをつまみに、看板酒の角ハイをすい~っと。各酒場ともに徒歩わずか1分ほどの距離。それだけの小さな世界で、こんなにも見事に泥酔できる。横丁は酒呑みパラダイス。
※「バカでアホでフラメンキン」はにんにく味の牛肉の天ぷら、「バカコンポジャ」は牛すじをささみで挟んだフライ。それぞれ、スペイン語に由来するネーミング。
■新宿思い出横丁
住所:東京都新宿区西新宿1−1−1
倉嶋紀和子(「古典酒場」編集長)
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山手線で一番乗降者数が少ないことで有名な鶯谷駅から徒歩5分。上野周辺からも徒歩圏内と好立地にある、黄色いテントが目印の『喫茶デン』は、1971年に創業された純喫茶である。
近所の常連さんの憩いの場が、いま若者たちの間で「並んででも食べたい!」と、口コミやSNSで話題を呼んでいる。衝撃のルックスに思わず歓声があがる喫茶デンの2大名物「クリームソーダ」と「グラパン」だ。
とんがり帽子がお茶目な「クリームソーダ(550円)」。ジュースの中にソフトクリームを落っことしちゃったような不恰好さに胸がキュンとする。
40年以上変らぬレシピで作られている自家製ソフトは、滑らかなクリーム系ではなくシャリシャリとした食感のあっさり味。手に取ったコーンに、スプーンですくったアイスをつけて食べるのが常連スタイル。クリームが少し溶けたメロンソーダをちゅう~と吸い込むと、甘い泡が身体の中で弾ける。
幼少時代に誰もが憧れたクリームソーダ。発祥は『資生堂パーラー 銀座本店』だという。懐かしい味が、気品溢れる老舗のパーラーでうまれたなんて少し意外だ。魅惑のドリンクとして今ではSNSで世界中に拡散されている。このヒーローのような飲み物を知らずに帰国するなんてもったいないだろう。
プディング好きなら必ず食べてもらいたい「ソフト巻きプリン(500円)」は、一日限定12個と早い者勝ち。先代が創業当初から毎朝手作りしているプリンは、卵の味をしっかり感じられるよう甘さ控えめ。濃厚な卵の旨みとアイスは口に入れた瞬間、優しく溶けていく。
このダイナミックさに衝撃を受けない人はいない!もう一つの名物メニューは、食いしんぼうにおすすめの「グラパン(850円)」
およそ一斤(600グラム、高さ10cm)ものビッグサイズの食パンの中には、熱々とろとろのグラタンがたんまり。具だくさんの自家製ホワイトソースは、さらっとしていてシチューのよう。まずは、横に添えられたパンをグラタンにディップ。大きな食パンの耳をちぎって食べると、シルキーでもちもちの食感からカリッと芳ばしく変化する。お一人さまはテーブルに置いてある調味料をかけてみよう。オール・シーズニング(パプリカやチリ、食塩を混ぜた調味料)はマイルドに、タバスコをかけるとスパイシーな風味に変化するから、飽きずにぺロっと完食できる。
気づけば手に持っていたスプーンが、iphoneに変っていた。思わず誰かに自慢したくなるのも納得のメニューに出合えたから。ディープな日本のカフェ(=純喫茶)でしか味わうことのできない、名物グルメを巡る旅はまだまだ続く…。
※価格は全て税込
■Information
住所:東京都台東区根岸3-3-18 メゾン根岸(鶯谷)1階
資生堂パーラー 銀座本店
住所:東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル4階・5階
植木祐梨子(フードライター)
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人気店には必ず名物があります。いや、名物があるから人気店になる、という方が正しいでしょう。ですから各店、なんとか人気メニューを開発するべく、頭をひねっています。それが完成すれば、新しい店を作ることもできるわけですから。
例えば吉祥寺にある、全く予約の取れない人気店「肉山」。ここは赤身肉がメインのお店ですが、〆のカレーが大人気のため、その部分だけを切り取ってカレー専門店を作ってしまいました。渋谷東急東横店フードショー内の「肉山カレー」がそれです。テイクアウトやレトルトも発売しているので、お土産にもいいかもしれません。
日本人のソウルフードである餃子でしたら、幡ヶ谷「您好」の名物、焼き餃子をまずおすすめします。中身は野菜とひき肉で、通常の餃子と同じなのですが、この食感がひき肉というより、肉そのもの。美味しい粗挽きソーセージを食べているかのようです。皮も一度茹でたものを、両面カリカリに焼くという独特の所作。店内は気軽な雰囲気ですので、リラックスして楽しめます。
台湾料理の老舗として有名な「麗郷」は、渋谷で60年以上の歴史を誇ります。店内の活気は驚くほどで、皆が円卓のテーブルで笑いながら飲み、食べています。こちらの名物はシジミ、腸詰、ビーフン。この3品はマストでオーダーすることをお勧めします。ガーリーなシジミは汁まで美味しいので、その汁をビーフンに絡めてみてください。日本をより好きになるはずです。
■Information
肉山
住所:東京都武蔵野市吉祥寺北町1-1-20 藤野ビル 2F
您好
住所:東京都渋谷区西原2-27-4
麗郷
住所:東京都渋谷区道玄坂2-25-18
大木淳夫
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「エロいわぁ」。思わずそんな単語を口走ってしまう魅惑の酒肴。それは西荻窪「みちのくらさん」のオリジナルメニュー「エロうま豆腐」。
この料理を食べた常連女性が関西弁で言った「えろぉ美味いわぁ」というフレーズから名付けられた。そう、とっても美味しいという意味での「エロ」なのだが、味わいそのものも、脳みそがとろけそうになるほど、実に甘やかで蠱惑的なのだ。
そのいやらしい味の秘訣は、「ごま油」「ネギ油」「ピーナッツオイル」などの香り高き4種類もの油。これらをお互いバッティングしないよう、抜群の塩梅で調合。それらを熱して、香りが最高潮に高まったところで、豆腐にジュウッと回しかける。鼻腔をくすぐりまくる油の香り。官能的な気持ちにならないはずがない。今宵も「えろううまい、えろううまい」、そう連呼しながら、「エロうま豆腐」に耽溺。
■Information
みちのくらさん
住所:東京都杉並区松庵3 -38-15ニューダイヤハイムB1F
倉嶋紀和子
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イタリアのナポリにナポリタンがないのは有名な話。では、ナポリタンのルーツは一体どこにあるのかというと、答えは日本だ。いまでは街の喫茶店や洋食店の定番メニューとなったナポリタンの“生みの親”は、横浜にある『ホテルニューグランド』。
戦後、GHQとして接収されたホテルの厨房で、進駐軍がボイルしたスパゲッティにケチャップを絡めて食べていた料理にヒントを得て、当時の料理長が開発したと言われている。ケチャップではなく、フレッシュトマトを使用し、炒めた玉ねぎやにんにく、ハムやマッシュルームを加えたホテルメイドのナポリタンの味が評判を呼び、横浜から全国へと次第にブームが広がっていったのだという。
使う具材や麺、茹で方など、店によってこだわりもさまざま。パスタ料理の本場、イタリアの人々からすれば「パスタにケチャップを使うだなんて!」と反感を買いそうだが、2009年にナポリにナポリタンが初上陸した際には、意外にも高評価を集めたという。
日本人はノスタルジーを、外国人は新しい! と、感じるナポリタンだが、その“聖地”としてかならず名前が挙がるのが、新橋の『ポンヌフ』。ランチ時は行列ができるほどの人気店で、多くの人のお目当てはもちろん、スパゲッティ・ナポリタン(\598)。もっちり太めのパスタは茹でおきで、ケチャップを配合した自家製ソースは素朴で心がなごむ味。ちょっと贅沢な気分を味わいたいときは肉汁がたっぷりのハンバーグのせ(\782)をオーダーするのもおすすめだ。
外国人客利用も多い『代官山 蔦谷書店』に併設する『Anjin』にも、厳選した食材を使ったナポリタンが。東京散策中に一息つきたいときにぴったりなカフェは、落ち着いた雰囲気。ナポリタンの味もどこか上品で洗練されている。基本的な調理法やベースは同じでも、店によって個性が異なるのがナポリタンの魅力。日本オリジナルのスパゲッティを1度味わえば、かならずその虜になるはずだ。
*価格は税抜です。
■カフェテラス ポンヌフ
住所:東京都港区新橋2−20−15 新橋駅前ビル1号館 1F
■Anjin
住所:東京都渋谷区猿楽町17−5 代官山蔦屋書店
フードライター 小寺慶子