アニメーター/イラストレーションアーティスト米山舞が「START ART FAIR 2021」に日本人アーティストとして選出された。同展は、コンテンポラリーアート分野で最も有名なギャラリーの一つであるロンドンのサーチギャラリーにて開催、25カ国70人以上のアーティストと世界中のギャラリーが参加している。米山舞の出展作品は、彼女自身の来歴を象徴するかのような作品『00:00:00:00(シーケンス)』。世界のキュレーターが集うSTART.artに名を連ね、エルミタージュ美術館のキュレーターも務めるDimitri Ozerkovのチームが認めた作品として「START ART FAIR 2021」の注目作の一つとなっている。
A LOT, 2021
Es, 2021
Id, 2021
DISCOVER, 2021
silk moss, 2020
VISIONS, 2020
米山は、『新世紀エヴァンゲリオン』を担当したアニメ制作会社ガイナックスにてアニメーターとしてキャリアをスタートした。その後、日本国内外から高い評価を受けるアニメ制作会社トリガーにて『キルラキル』作画監督や『キズナイーバー』キャラクターデザイン等を担当し頭角を現し、2019年に日本で大ヒットしたアニメ映画『プロメア』ではヴィジュアルデベロップメント等の中心的役割を務めるなど、アニメ・イラスト業界において確かな存在感を発揮している。さらに、エヴァンゲリオンアパレルブランド『RADIO EVA』にてメインビジュアル等を手掛けるなど、イラストレーターとしての活躍も目覚ましい。今年2月にはカネボウ化粧品「KATE」綾波レイ編において、作画のみならず、CM監督や撮影を務めたことでも注目を集めた。また、2019年に個展「SHE」、2021年には個展「EGO」を開催し、アーティストとしての活動も本格化している。
日本のみならずアジアの要素を含む広く深い感性と、アニメーター出身ならではの卓越した技術に裏打ちされたシチュエーションを伝える表現力が融合した、感情や動きの流れを感じさせる描写が特徴だ。
「START ART FAIR 2021」における米山の出展作品『00:00:00:00』(シーケンス)は、16枚の作品から成る集合作で、それぞれが1枚の作品として完成しながらも、全体で流れを構成する。タイトルの読みである「シーケンス」という語は、アニメを含む映像業界等において、シーンが集まって一つの物語として成立するものといった意味で使われる用語。タイトルに用いられたこの語には、「シーケンスはどんな瞬間にも存在にしていて、誰にも、みんなにも自分にも存在する。瞬間を捉えているモノの連続それ自体が作品」との意味が込められているという。作品のコンセプトについて米山は、「自分にとってアニメーションを描くということは、一瞬の尊さというものを再認識させてくれる行為です。1フレームの瞬間を拡張させそれを何枚も用意し、それを行ったり戻ったりして動きの流れを成立させることで、全ての瞬間がお互い作用しあっている状態が好きなのでそれを作品にしました。」と述べている。
本作品は、まず初めに16の花々とその意味が決められ、それからすべてが描かれている。背景に象徴の花を、前面に少女を配する、この重ねて表現する手法は、アニメーター時代に培った技術や観点が応用されており、単なる絵にとどまること無く、息遣いや感情、生き様、空間など存在そのものが伝わりくるその様は、まさしく「Animator:生命を吹き込む者」のなせる業だ。少女の、フリージアの花言葉の如くあどけなさを残した様子から、無垢でありながらも威厳を湛え、百合の花言葉を体現したような姿へと変わりゆく様を、それぞれの花言葉に添いながら1枚1枚描き出している。どの瞬間も思わず目を惹くような可憐さや美しさを感じさせる完成度であるが、その連なりこそが本作品の真骨頂であり、16枚が並ぶ様は見る者が魅入られ、その場で立ち尽くすほどに壮観だ。
米山を象徴する作品と言える『00:00:00:00』は、世界中のキュレーターが集まるSTART.artにも名を連ねるDimitri Ozerkovのチームに認められたことで話題を呼んでいる。Dimitri Ozerkovは、ロシアの美術史家かつキュレーターであり、2007年以来、サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館で現代美術部門の責任者を務め、伝統的な美術館で現代美術を収集して展示するエルミタージュ20/21現代美術プロジェクトの責任者でもある。世界有数の美術館であるエルミタージュのキュレーターであり、一目置かれる存在であるOzerkovに認められたとして、数々の作品が集まる「START ART FAIR 2021」において注目作の一つとなっている。
誇るよりも、先達のお陰で今の自分が在るといった謙虚な姿勢が印象的な米山であるが、その目指すところは、「自分が自分のままで人の心を動かすこと」だという。絵を言語として、絵でコミュニケーションをする者として、言葉や時代、あらゆる境界を超えていくのだろう。アニメーター/イラストレーションアーティスト米山舞の歩みに今後も目が離せない。
©MAI YONEYAMA
Information
START ART FAIR 2021
米山舞:https://www.maiyoneyama.art
Official Site:https://startartfair.com/
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イラストレーターBEYの個展『NEW WAMERICAN』が11月1日(金)より渋谷・TRUNK(HOTEL)にて開催される。 BEYは、浮世絵をはじめとする和の文化と、アメリカンポップカルチャーを融合させた「和メリカン」をテーマにイラストを制作するイラストレーター。現在はアーティストのCDジャケットやアパレルブランドのショーウィンドウのアートも手がけるなど、新進気鋭クリエイターとして注目を集めている。 今回は、本展のために描き下ろしたキャンバス作品が展示・販売。また、湯呑みや限定パッケージを施したパロサントなどの新グッズも販売される。 【BEY コメント】 7年間にわたる活動の中で随時進化してきた“WAMERICAN”の新しい表現を、自身初となる全作品原画且つキャンバス制作からこだわった展示としてアプローチできたらと思っています。是非多くの方に足を運んでいただきたいです。
Information
BEY SOLO EXHIBITION “NEW WAMERICAN”
日程:2024年11月1日(金)〜4日(月)
OPEN:10:00〜20:00会場:
TRUNK (HOTEL)CATSTREET
東京都渋谷区神宮前5丁目31【レセプションパーティ】
日程:2024年11月1日(金)
時間:19:00〜24:00
入場:無料
DJs:矢部ユウナ / 50minimals【GOODS】
・L/S TEE
・キャップ
・手拭い
・花札トランプ
・湯呑みマグカップ
・オリジナルパロサント
・ステッカー<BEY Profile>
BEY / ILLUSTRATOR
浮世絵をはじめとする『和』の文化と、『アメリカン』ポップカルチャーを融合させた『和メリカン』をテーマに、デザイン・イラストを制作。
現在は、自身のブランド『WAMERICAN』を立ち上げ、アパレルデザインを手掛けるなど幅広く展開している。Instagram:@beytaro_0912
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三井ショッピングパーク ららぽーとTOKYO-BAYにて、イラストレーターmeecoとコラボレーションした秋のキャッシュレスマンス「AUTUMN FESTA 2023 Find Happiness」が9月30日まで展開中!
特設エリアでは、meecoのアート展示とともに、秋の最新アイテムやコーディネートを紹介。来場者にはmeecoの描き下ろしオリジナルカードがプレゼントされるのでお見逃しなく!(無くなり次第終了)
特設サイトとあわせてお楽しみに。
Information
AUTUMN FESTA 2023 Find Happiness
開催期間:2023年9月1日(金)〜30日(土)
特設サイト
https://mitsui-shopping-park.com/lalaport/tokyo-bay/special/autumnfesta2023/
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90’s感あふれるポップな色彩で、舌を出した女の子がモチーフの「peloringirl」シリーズを描くイラストレーター佐藤なつみが、2023年6月2日(金)より6月16日(金)までの期間限定で原宿A.F GALLERYにて個展を開催中。
本展では、過去作品に加え、今回のために制作された描き下ろし作品、先日リリースされた、佐藤なつみがキャラクターデザインを手がけるNFTプロジェクト「City Pop TOKYO」の作品も展示される。
個展は今後福岡、大阪でも開催予定なのでチェックしよう。
Information
Natsumi Sato solo exhibition TOKYO
会期:2023年6月2日(金)〜6月16日(金)
会場:A.F GALLERY(東京都)
OPEN:12:00-18:00
入場料:無料■A.F GALLERY
住所:東京都渋谷区神宮前3丁目21-8 ASOBIFACTORY 1F
MAP:https://goo.gl/maps/SsAJpwcTR3Z77bux8■在廊日
6月2日(金)〜6月4日(日)
6月10日(土)〜6月11日(日) -
東京を拠点に活動するガールズ・アーティストとクリエイターによるコレクティブ「bala」がついに本格始動。3月8日に1stシングル「barla」をリリースします。 bala(バラ)は、MANON、SUNNY ONLY 1、DAN、KANOからなる、それぞれにグローバルなバックグラウンドとルーツをもったクリエイティブ集団。世界で同時多発的に進行している様々なZ世代ユースカルチャーと共鳴しながら、DNAに組み込まれた日本発のポップカルチャーと融合させたハイブリッドな表現を求め、グローバルに発信していくことをコンセプトに活動していきます。 3月8日にリリースされるデビュー曲「barla」は、Mondo Grosso名義でも数々のヒット曲を持つ大沢伸一がプロデュースを手掛け、ケンモチヒデフミ(水曜日のカンパネラ)とリリックを共作。Y2Kカルチャーが各所でリヴァイバルするなか、次の音楽トレンドとして復活の兆しを見せている90年代末のフィルターハウス・サウンドをいち早くフィーチャー。次世代のポップカルチャーを牽引していく彼女たちのテーマ曲に相応しいグルーヴィーなダンスチューンとなっています。 <大沢伸一 コメント> 超個性的メンバーが集まったbalaの幕開けに立ち会えて光栄です。ケンモチさんとも事実上初の共作が出来て念願が叶いました。 <ケンモチヒデフミ コメント> balaの皆さん、大沢伸一さん、異色の様々な才能が混ざり合った楽曲に私もご一緒出来てとても嬉しく思っています。今この瞬間にしか出てこない、みんなのエネルギーが詰まった一曲になりました!
Information
bala 1st Single「barla」
配信日:2023年3月8日(水)
配信URL:https://orcd.co/barla
【About bala】
東京を拠点に活動するガールズ・アーティストとクリエイターによるコレクティブ・balaは、MANON、SUNNY ONLY1、DAN、KANOの4人からなるクリエイティブ集団。
世界で同時多発的に進行している様々なZ世代ユースカルチャーと共鳴しながら、DNAに組み込まれた日本発のポップカルチャーと融合させたハイブリッドな表現を目指し、グローバルに発信していくことをコンセプトに活動する。
また3Dアバターキャラクター「Barla」を介し、次世代インターネット「WEB 3.0」など、積極的にエッジテックを活用した次世代のクリエイティブにも取り組んでいく。
ポップミュージックのフィールドに限らず、彼女たちの世界観を共有する様々なアーティスト、クリエイターが集うクリエイティヴ・プラットフォームとして機能することで、ポップカルチャーにおける新たなエコシステムへの発展を目指していく。
TikTok:https://www.tiktok.com/@bala_official_japan
Instagram:https://www.instagram.com/bala_official_japan/
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©永井豪/ダイナミック企画 ©ダイナミック企画・東映アニメーション ©ダイナミック企画 ©東映アニメーション ©松本零士/零時社・東映アニメーション
2023年3月21日(火)~4月5日(水)の期間限定で、『スーパーロボット&ヒーローART WORKS 越智一裕画集』の発売と画業45周年を記念したイラストレーター/アニメーター・越智一裕の画展「スーパーロボット&ヒーローの世界 越智一裕画展」が、松坂屋名古屋店 本館7階 大催事場にて開催される。
展示は越智一裕が自らセレクション。50周年を迎えた『マジンガーZ』や『デビルマン』、新プロジェクトが発表された『UFOロボ グレンダイザ―』からのイラストのデジタル出力や、そのラフ線画、原画、宣伝・特典ポスターなど含め100点超が展示される。
商品としては、越智一裕直筆サイン入り画集、版画やグッズが販売される他、新商品としてキューティーハニーとコズミック・ファンタジーの商品発売が決定している。越智一裕の来場も決定しており、またとない貴重な機会となっているので、会場に足を運んでみてはいかがだろうか?
名古屋会場限定イラストカード
また、越智一裕が展示会に来場する日程に越智一裕展商品を税込5,000円以上購入すると、名古屋会場限定のイラストカードにその場で直筆サインがもらえるのでお楽しみに。
展示会グッズ一部
©Go Nagai/Dynamic Planning Illustration by K.Ochi
©KAZUHIRO OCHI
イラスト/越智一裕 ©永井豪/ダイナミック企画
Information
スーパーロボット&ヒーローの世界越智一裕画展
開催期間:2023年3月21日(火)~4月5日(水)
営業時間:10:00~18:00
開催場所:松坂屋名古屋店 本館7階 大催事場
開催概要&商品詳細:https://edition-88.com/blogs/blog/ochikazuhiro-ten-nagoya_event-infoグッズ販売:https://edition-88.com/
越智一裕 来場日程
来場日:3月21日(祝・火)・25日(土)・26(日)、4月1日(土)・2日(日)
時間:13:00~16:00
※なくなり次第終了となります。
※都合により来場スケジュールは変更・中止になる可能性がございます。 -
東京ミッドタウン日比谷は、街と人の魅力を伝え続けてきたクリエイター江口寿史氏によるイラストレーション展『東京彼女』を2023年3月14日(火)~4月23日(日)に開催する。当展示のために特別に描き下された、日比谷の街にたたずむ「彼女」の新作イラストを中心に大小さまざまな「彼女」の展示を展開していく。
銀杏BOYZ「君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命」CDジャケット(2005)
大滝 詠一「A LONG VACATION」40th トリビュートイラスト(2021)
漫画家・イラストレーターとして活躍する江口寿史氏は、東京という街と街の中で輝く人々の瞬間を克明に描き、街と人の魅力を伝え続けている。今回、東京ミッドタウン日比谷が5周年を迎え、日比谷エリアの様々な場所も周年を迎えることから、日比谷ならではの特別展示として江口寿史イラストレーション展『東京彼女』が実現した。 本展示では、東京ミッドタウン日比谷での展示のために新たに描き下された、日比谷の街にたたずむ「彼女」の新作がお披露目するほか、江口氏が80〜90年代に愛用した画材パントーン・オーバーレイによる初公開の原画作品も多数展示される。
また、期間中はサイン会をはじめ、江口氏本人がその場で対象者の似顔絵を描き下ろす「ライブスケッチ」や、イラストを描くコツを伝授する「ワークショップ」も開催。
時代を代表するクリエイターの、魅力的な東京の「彼女」たちに会いに、ぜひ足を運んでみてはいかが? ©2023 Eguchi HisashiInformation
江口寿史イラストレーション展『東京彼女』
開催期間:2023年3月14日(火)~4月23日(日)
開催場所:東京ミッドタウン日比谷
https://www.hibiya.tokyo-midtown.com/jp/