【MMNインタビュー】世界照準の音作りを続けるw-inds. J-POPと海外ポップスの絶対的違いとは?

22.January.2018 | FEATURES / MUSIC

2001年のデビュー後、その人気を日本のみならず、台湾、香港、韓国、中国、ベトナムなど東南アジア全域に拡大させ、海外でも数々の賞を受賞しているw-inds.。近年は橘慶太が楽曲のセルフプロデュースを手がけており、トロピカルハウスやフューチャーベースなど、世界的トレンドともリンクする先鋭的なサウンドを日本語ポップスにうまく落とし込み、音楽ファンから新たな支持を得ている。今回はメンバー3人にインタビューを敢行。世界に目を向けたさまざまな活動の意図を尋ねた。

 

取材・文 / 鳴田麻未

 

 

 

■曲作りのスタートは「次、w-inds.が何をやったら面白いか」

 

――現在のw-inds.は、世界に照準を合わせた曲作りをしていると言って差し支えないでしょうか?

 

橘慶太(以下、慶太):最近の曲は僕が作詞・作曲・プロデュースまで全部作ってるんですけど、その作り方が海外のダンスミュージックのトラックメイカーと同じ方法なんですね。向こうのサウンドが趣向として好きだし、そのほうが踊りもハマりますしね。

 

千葉涼平(以下、涼平):うん、今流行りのダンスがね。

 

緒方龍一(以下、龍一):むしろデビュー当時、J-POPで踊るってことの難しさに直面するほうが多かったんです。ビートなのか歌詞なのかメロディなのか、どこをつまんでいけば良くなるのかなとずっと試行錯誤してましたけど、ここ最近の曲は踊っていても気持ちいいし、踊れるようなトラックありきのパフォーマンスになってると思います。

 

――例えば1曲作るとき、今はどういう作業から取り掛かっているんですか?

 

慶太:イメージですね。次、w-inds.が何をやったら面白いか。今まさに次作の制作中なんですけど、「We Don’t Need To Talk Anymore」とか「Time Has Gone」は良い感じで受け入れてもらえたけど、同じようなことをやっても面白くないし、w-inds.らしさもありつつ「こうきたか」ってリスナーに思わせる部分は絶対出したいので、まず「次に何をやったら面白いか」という着想から始まりますね。それがすぐ思いつくときもあるけど、全然思いつかず、どこに行くのが正解かわからないときもあります。

 

龍一:慶太は常にそれ考えてるよね。

 

――具体的にはトラック重視で作られているそうで。

 

慶太:はい。もちろん音楽の顔って歌だとは思うんですけど、僕はもともと曲のビートを聴いちゃうクセがあって。キックとかベース、主に低域の音の鳴り方が、J-POPと海外のサウンドで一番違うところなんですよね。海外のトラックメイカーの作品は、音数は少ないんだけど1つひとつの音がしっかりしてるものが多くて、対してJ-POPのトラックメイカーはいろんな音を入れて派手にするっていう傾向があるんですね。そこで聴感の違いが出てくるんです。なので、w-inds.の曲も基盤となる音をしっかり作ることは重視してます。ドラムの音色を探すために1日費やすことも。細かい音と音を組み合わせて、ドゥン、ドゥン……ってずーっと打ち込んでます(笑)。

 

――トラックを仕上げる際はどんなことを意識してますか?

 

慶太:僕は、「楽曲の命は10秒」っていう持論があって。イントロでもいいしフックでもいいから、人をつかめる10秒を作らないと、たくさんの人には届かないと思ってるんです。例えばチャート番組で曲が紹介されるとき、だいたい5秒くらいで終わっちゃうけど、その一瞬で「なんだこれ!?」と思ってもらえるようにするにはどういう音がいいんだろう。そこは常に考えて作ってますね。

 

――コアな手法も入れるけど、ポップスとしてキャッチーさも追求していると。

 

慶太:そうですね。やっぱりアメリカのポップミュージックがすごい好きなんでしょうね。実はインストとか聴いてると、どうしても自作のメロディを乗せたくなるんです(笑)。「このコード進行いいな」とか思うと、キー取って、「このメロディがハマったら完璧じゃん!」って。

 

涼平:それ職業病じゃん!(笑)

 

龍一:もはや“聴いて”ないね。

 

慶太:そう、最近はフツーに音楽を聴けなくなっちゃって。音楽が鳴ったら、コードとか、使ってる楽器とか、メロディの流れとか、すぐ分析を始めちゃうんで。悲しいことに、曲聴いてイエーイ!とかなった覚えがもうここ数年ないですね(笑)。

 

龍一:昔からそういうタイプだよね。パーティとかも行かないし、他の人のライブ見ても分析するし。

 

――千葉さんと緒方さんはそういうことないですか? 曲を聴いて、自分ならどう踊るかを考えたり、振付を分析したり。

 

涼平:「どう踊ろう?」はないなぁ。勝手に体動くことはあるけど。

 

龍一:でもテレビとかライブでダンスグループを見るときは、どういうテンションなの? 楽しむ側なのか、分析側なのか。

 

慶太:「あ、あいつ失敗したな」とか思うでしょ?

 

涼平:失敗したけど……そういうこともあるよね、と思うよ(笑)。粗は探さないけど、まぁ見えちゃうね。

 

■チャレンジして変わっていくのがw-inds.のスタイル

 

――2014年あたりから音楽性がエッジの効いた方向にソフトランディングしていったと感じてるのですが、それによってライブの演出やダンス、パフォーマンス面はどう変わりました?

 

慶太:ライブの演出はアルバムを作ってる段階でだいだいイメージしてて、その都度投影させてるんですけど、パフォーマンスもアルバムの内容次第でどうとでも変わりますね。例えば「Timeless」(2014年7月発売)と「Blue Blood」(2015年7月発売)ってアルバムは生音に近いサウンドというか、80年代のファンク&ソウルを現行のサウンドでリバイバルしたような作品で。そのときのライブはあえて映像演出を使わず、照明とバンドのアレンジで魅せる、アンプラグドな感じにして、自分たちも踊りを極力減らすっていうことにチャレンジしたんですね。で、次の「INVISIBLE」(2017年3月)は真逆というか、全体的にデジタルな演出が多くて。自分たちは常にアルバムでその1年の路線を決めるというか、音楽性もファッションも、今年のw-inds.はこう行くんだっていうのをアルバムで提示してる気がしますね。

 

 

――かなりコンセプチュアルなグループなんですね。

 

慶太:コンセプチュアルなんだけど、作品ごとにコロコロ変わるっていう(笑)。デビューから今まで、本当にいろんなコンセプトでやってきたので、15周年ライブとかはセットリストを組むのが大変でした。サウンドがいろいろすぎて。

 

――そんな中でも、変わってない、変えたくない主軸というと何でしょう?

 

慶太:歌って踊る……ことかな? でも究極、楽器持ってやっても僕はw-inds.はw-inds.だと思うし、なんだろうなあ。まぁ、3人でとにかく何かするっていうことですかね。

 

龍一:うん。

 

涼平:そうだね。規制がないグループだよね(笑)。

 

慶太:逆にチャレンジして変わっていくのが自分たちのスタイルだって、最近強く思うんです。ひとつの考えに囚われたり、ひとつにジャンルに絞りだしたりしたら、w-inds.が大切にしてるもの=“変わる”“チャレンジ”がなくなるなんじゃないかって思いますね。

 

 

後編へ続く

 

■Information

w-inds.

Official site:http://www.w-inds.tv/

 

DVD発売中「w-inds. LIVE TOUR 2017 “INVISIBLE”」

初回盤DVD [2枚組]

特典映像:「Time Has Gone」LIVE ver.コレオ映像 / ツアーパンフメイキング映像

 

通常盤Blu-ray [1枚組]

通常盤DVD [2枚組]

特典映像:メンバー視点のツアーメイキング映像(計30分)

http://www.w-inds.tv/discography/dvd_vhs/

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    コメント

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    音楽を目指したきっかけ

    「小さい頃からずっと歌って、お家で歌ってショーとか自分でひらいてたりして。夜ご飯食べる時に、「今日のディナーショー!」とか言って、パパとかママに観てもらったりして。台湾では寝る前に、おばあちゃんにも一緒に聴いてもらっていました。それに、小さい頃は褒められてもあんまり喜ばない子供だった。家事とか手伝えば、褒めてもらえるから頑張って家事を手伝う子もいると思うけど、それよりも、ASAはみんなが自分の歌を聴いて喜んでくれる姿をみるのが1番嬉しかった。」   ―ASA WU     ASA Wuが音楽の世界を目指したきっかけは幼少期に遡る。自分の歌声を楽しんでくれる家族の姿はまだ幼かった彼女の心を震わせ、歌手を夢見た小さい彼女の背中を押した。今でも変わらず家族の存在は彼女のモチベーションになっているとか。また、彼女の話し方にはまるで歌っているかのような暖かい印象があり、彼女にとって歌うことは天性の才能といっても過言ではない。  

    音楽とASA Wu

    「ベタかもしれないけれど、自分にとって音楽を表すなら「NO MUSIC. NO LIFE」。例えば、悲しいことがあった時、ストレスがあった時に、どうするの?って。人それぞれリフレッシュの方法があると思うけど、色んなものがあるなかで、その方法が私にとっては音楽だった。音楽は1番簡単に、気分を変えられるし、自分をポジティブな気分にしてくれたり、聴くことでやる気が出るかもしれないし、聴くってすごい簡単なことだけど、大きな行動に繋がると思う。だから、そういう音楽を、自分が歌って音楽で届けられるようになりたい。」   ―ASA WU     彼女にとって音楽は人生そのものだろう。人生の中で遭遇するネガティブな感情やストレスなど様々な葛藤と向き合い乗り越える時、また、心が晴れるような瞬間も音楽は彼女と常に寄り添う。歌詞を書く際は、自分の頭の中でイメージしたストーリーに登場する主人公の感情や、日々ノートに書き綴っている人生の気づきからインスピレーションを得たりと、エモーショナルなアプローチをとることが多いという。人々がまだ知らない、感じたことがない気持ちを自身の歌を通して共有したいという思いが込められており、それはまた、音楽に支えられてきた彼女自身のように、自分の歌で人々の心に寄り添いたいという彼女の信念からきている。   「Uncolor」MV
     

    新曲「Uncolor」について

    新曲「Uncolor」の作詞制作プロセスでは、先に出来上がっていたストーリーとビートからイメージを膨らませ「暗闇と光」が共存する世界観を歌詞で表現した。彼女が歌詞の中で特に好きなラインは歌い出しの「どんなColorにも 見えない Night Sky」や「Feeling Sad さみしい色の空 君がいた」だという。その理由について彼女は、「空って、夜の空は黒といえば黒かもしれないけれど、自分の心の具合によっては、どんな色にも見えるかなと思って、そういう言葉を並べました。そして、歌詞の中の「My friends」は地球のみんなに届くように、「みんな友達だよ」という思いをこめて書きました」と語った。レコーディングの際は、歌声でどのように人々にこの想いを届けられるかを意識して、歌声で色付けるように部屋を暗くして挑んだとのこと。   ファッション・アート・ミュージック各分野のアーティストが集結するプロジェクト『Artiswitch』では、「Uncolor」と共に大人気イラストレーターのNANCYSNAKEとコラボレーションを発表しメロディーとビジュアルでストーリーの世界観を表現した。   ASA Wuにとってコラボレーションとは、アーティスト個々のそれぞれのカラーが重なり合って新しい色に出会うことができる発見のようだという。また、それは新しい自分との出会いともいえるだろう。変幻自在に音色を奏でるこれからの彼女の新しい色にも期待が高まる。   彼女は自分の音楽を聞いてくれる人に対して「自分が音楽で伝えたいこともそうだし、歌詞を書いてくれる人がいたら、その人が世界に伝えたいことも自分の声で伝えられたらいいなって。聴いてくれてる方からのメッセージからも、「この人はこういうこと考えてるんだ」っていうのを吸収して、そういうのも共感を得られると思うから、そういうのを自分の声で歌って、「ASAちゃんがこういうことを歌ってくれて良かった」って思ってもらえるような音楽を広めていきたい。ASA Wuの曲を聞いていてよかった、応援してきて良かった、と思ってもらえるようなアーティストに絶対なるので、みんな楽しみにいっぱい応援してね!」と満面の笑顔で語った。ひとの心に音楽で寄り添うASA Wuは、これからも唯一無二の音色で人の心に光を紡いでくれるだろう。そんな彼女のメッセージ性溢れる新曲「Uncolor」を聞きながらそっと一息、深呼吸してみては?       TEXT:Natalie(MOSHI MOSHI NIPPON)       ASA Wu Instagram:https://www.instagram.com/asawurarara/ YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCodMTlxqMqMr4_EGGY3ilYw