【MMNインタビュー】w-inds.が見据える、世界対応のエンタメ構築「既成概念を取り払って道筋を作っていきたい」

23.January.2018 | FEATURES / MUSIC

2001年のデビュー後、その人気を日本のみならず、台湾、香港、韓国、中国、ベトナムなど東南アジア全域に拡大させ、海外でも数々の賞を受賞しているw-inds.。近年は橘慶太が楽曲のセルフプロデュースを手がけており、トロピカルハウスやフューチャーベースなど、世界的トレンドともリンクする先鋭的なサウンドを日本語ポップスにうまく落とし込み、音楽ファンから新たな支持を得ている。今回はメンバー3人にインタビューを敢行。世界に目を向けたさまざまな活動の意図を尋ねた。

前編はこちら

 

取材・文 / 鳴田麻未

 

 

 

 

■無料でもいいからどれだけの人に聴いてもらえるかが、今の音楽の価値

 

――w-inds.はプロモーション施策でも世界に目を向けた動きをしていますよね。例えば昨年は「We Don’t Need To Talk Anymore」のリミックスコンテストを実施しました。リミックスコンテストは、海外の音楽サービスや、Aviciiやビヨンセといった有名アーティストがやったことで広まったものでもあって。

 

慶太:そうですね。なかなか日本のメジャーシーンではなかったので、やりたいなっていう気持ちが強くて。あれをやったことで良いトラックメイカーと出会えましたし、チャンスが欲しいと思ってる人はごまんといるというか、機会を与えてもらってないだけで才能はあるトラックメイカーがたくさんいるというのを感じることができました。

僕がトラックを作り始めたのは5年ぐらい前なんですけど、自分がすでにデビューしてたから周りにプロの人がたくさんいて、そのノウハウを全部教えてもらえたので、普通の初心者より有利だったんですよね。だから同じように、トラックを作る人たちにもっとプロのノウハウを与えられる環境があれば、刺激し合えて、今僕がやってる音楽の幅もより広がるんじゃないかなと感じてリミックスコンテストを開催しました。募集のときに、1個1個の楽器ごとにサウンドをバラしたパラデータを配布したんですね。それは、トラックをこれから作り始めますっていう人にも、プロの人が作ってる音を細かく見られるようにっていう意図だったんです。やっぱり新しいトラックメイカーがどんどん育って出てきてもらうには、プロのノウハウを見せたり教えたりすることが大切だなと改めて思いましたね。

 

――さまざまな解釈のリミックス音源が集まったと思いますが。

 

龍一:それはもう、もう、もう……。送ってくれた音源は今も全部iTunesに入ってるから、シャッフルで流れてくるんですよ。たまに「お! けっこういいイントロだな」と思ったら自分たちの曲だったりしてびっくりする(笑)。

 

――9月の「Time Has Gone」リリース時も、慶太さん自身が手がけた「Time Has Gone “Future Pop Remix”」を対象にSpotifyで全世界シェアキャンペーンというのをやっていましたね。

 

慶太:はい。Spotifyっていうツールは今、世界のストリーミングでナンバーワンじゃないですか。こんなこと言うと語弊があるかもしれないけど、僕はSpotifyで聴かれることがCDを売るよりも一番価値が高いと思ってるんですね。無料でもいいからどれだけの人に聴いてもらえるかっていうのが、今の音楽の価値だと思ってて。そういう意味で、ストリーミングサービスにより特化したことはやりたいなという気持ちがあって、それでこの施策をやりました。

 

龍一:結果、日本国内と台湾のバイラルチャートで1位、香港で最高4位になりました。楽曲がどの国で多く聴かれたかっていう統計では、日本に次いで2位がアメリカ(当時)なのも意外でしたね。

 

慶太:個人的には、CDが売れないと言われる時代なので、いろんな音楽の売り方があっていいかなと思っていて。例えばパラデータを売るとかも面白いかなって。自分がトラック作ってるからこそできることですよね。今のw-inds.の武器は「曲が作れること」だと思っていて。となると、一番は曲が聴かれること。曲を作って、いろんな人の協力を得てバラまいて聴いてもらうっていうのが、一番僕がやりたいことというか、やるべきことだと思ってます。それで「This Love」ではAWAとコラボレーションしたり、ストリーミングサービスを使った戦略にチャレンジしてるって感じですね。

 

 

■必要なのは“J-POP”という概念の再構築

 

――w-inds.は、2001年にデビューして3年後と、早い段階からアジア各国に進出していますよね。中国、香港、台湾、韓国などで原盤をリリースし、数々の国の音楽アワードを受賞してきました。アメリカのポップスに近い今の音楽性になったのも、支持を得ているアジアでそういうサウンドが主流だから、ある種必然という気もしていて。

 

慶太:そうですね。感覚として、2004年から2007年あたりは、アジアのフェスに出たらJ-POPがダントツカッコよかったんですよ。失礼な話ですけど、中華圏のサウンド、トラックは素人っぽいものも多くて。歌はみんなうまいですけど。

 

龍一:バラードが多いしね。それが年々「あれ? みんな音カッコよくなってきたな」「PVも良くなってきたな」「もしかしたら、J-POP抜かれてるんじゃね?」って……。

 

慶太:そうそう。エンタテインメントのレベルが上がっていってるのを目の当たりにして。その焦りはちょっとあったかもしれないですね、自分たちがこういうサウンドをやるようになった理由のひとつに。

 

――アジア諸国はどういうわけで音楽改革がなされたんでしょうね? 欧米のトレンドを取り入れるのがうまくなった?

 

慶太:たぶんインターネットでの情報収集がみんなうまくなったんじゃないかなあ。それと日本の音楽って、ミリオンがバンバン出てすごく売れた時期があるじゃないですか。その音楽が、売れすぎたゆえに当たり前になっちゃって、それ以外がJ-POPじゃないみたいな括りが(進化を)止めちゃってるのかなと僕は感じますね。日本人の僕らがやってる音楽は極論いつでも“J-POP”なはずなんですけど、今の僕らを“J-POP外”とする概念が……。

 

龍一:確かに! 売れたときの音楽をいまだに引きずってる感あるね。

 

慶太:それが一番惜しいと思いますね。そこを一回取り払って再構築していかないと、世界に対応できるサウンドやエンタテインメントっていうのはなかなかできないんじゃないかなと。

 

――海外活動が豊富な分、日本と海外双方の良さを知っている皆さんですが、それぞれどんな特徴があると思いますか?

 

龍一:日本のステージセットは安全ですごいですよ! アジア圏は大雑把なんで……。

 

涼平:あはは(笑)。アクシデントにも慣れたね。お客さんに関しては、海外の人は良いパフォーマンスをしたら素直に評価してくれるから、逆にアウェイでもやりやすいとこがあるね。

 

龍一:確かに。それから日本人はやっぱりいい人ばっかり。僕、今まで携帯電話2回落として、2回とも返ってきてるんですよ。電車の中に財布忘れたこともあるけど、そのまま戻ってきたし。日本以外では考えられないことだなって。

 

慶太:真面目だよね。あと気が利くというかさ。ウォッシュレットとか温かい便座とかを発明したり。

 

龍一:人のこと考えるよね! 察しと思いやりだよね。

 

慶太:僕たちも日本人なので、そこを大切にしていくべきだと思うんですよ。何かで海外に出たいって思ってる人も、アメリカンスターを真似てムチャクチャなこと言ったりやったりしても勘違いで、日本人らしく海外でやるっていうのがいいと思う。僕はそういう意味で日本人らしい音楽の作り方の研究を重ねてるんです。海外のトラックメイカーがワイワイ言いながら作るスタイルが必ずしも正解だとは思ってない。周波数とか調べて職人的にやるタイプなんですよね。

 

■2017年はw-inds.のターニングポイントだった

 

――訪日外国人は年々増加してますし、2020年の東京オリンピックはジャパニーズカルチャーに世界が興味を持ち、触れる大きな地点になります。そんなとき、w-inds.は音楽シーンの中でどうありたいですか?

 

慶太:今とやってることは変えたくないですね。この音楽性を、やりたいけどいろんな事情でやれないって人はたくさんいると思っていて。よくあるのが「日本で売れる曲を作らなきゃダメだ」とか、そういうことを言われるケースはまだ多々あるんです。それを極力取り払えるように僕らが最初に道筋を作っていきたい。ただ、最終的に大きな波を作るのは僕らより下の若者だと思うんです。そういう人が現れたときに健全に音楽を作れる、やりやすい環境を作りたいですね。J-POPの裾野を広げる、いいやり方なんじゃないかなと思います。

 

――2017年の活動を振り返ってみていかがでしょうか。

 

涼平:慶太が作品を作って世に出したことで、コアなファンの人たち以外のところに明らかに届いてるって実感できましたね。今まで届いてほしいけどなんで届かないんだろうって思っていたところに、純粋に楽曲の良さで評価してもらえたのは本当に喜ばしいし、昨年までとは違う動きになってますね。

 

慶太:w-inds.にとってターニングポイントになる1年だったと思います。世間的な見え方もそうですし、自分たちの意識だったり考え方も大きく変化した年だったので。

 

――2018年はどんな方向に動いていくのか、心から楽しみにしてます。

 

慶太:ずっとやってきたこと+α、毎年何か足していこうって決めていて。幅が広がっていくけど、歌や踊りという基礎の部分もちゃんと大切にできてるのは、17年間長くやってるからこそだとは思います。リスナーの方に「こうきたか」と思わせることは常に狙ってるので、これからの動きも楽しみに待っててほしいです。

 

■Information

w-inds.

Official site:http://www.w-inds.tv/

 

DVD発売中「w-inds. LIVE TOUR 2017 “INVISIBLE”」

初回盤DVD [2枚組]

特典映像:「Time Has Gone」LIVE ver.コレオ映像 / ツアーパンフメイキング映像

 

通常盤Blu-ray [1枚組]

通常盤DVD [2枚組]

特典映像:メンバー視点のツアーメイキング映像(計30分)

http://www.w-inds.tv/discography/dvd_vhs/

 

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    音楽を目指したきっかけ

    「小さい頃からずっと歌って、お家で歌ってショーとか自分でひらいてたりして。夜ご飯食べる時に、「今日のディナーショー!」とか言って、パパとかママに観てもらったりして。台湾では寝る前に、おばあちゃんにも一緒に聴いてもらっていました。それに、小さい頃は褒められてもあんまり喜ばない子供だった。家事とか手伝えば、褒めてもらえるから頑張って家事を手伝う子もいると思うけど、それよりも、ASAはみんなが自分の歌を聴いて喜んでくれる姿をみるのが1番嬉しかった。」   ―ASA WU     ASA Wuが音楽の世界を目指したきっかけは幼少期に遡る。自分の歌声を楽しんでくれる家族の姿はまだ幼かった彼女の心を震わせ、歌手を夢見た小さい彼女の背中を押した。今でも変わらず家族の存在は彼女のモチベーションになっているとか。また、彼女の話し方にはまるで歌っているかのような暖かい印象があり、彼女にとって歌うことは天性の才能といっても過言ではない。  

    音楽とASA Wu

    「ベタかもしれないけれど、自分にとって音楽を表すなら「NO MUSIC. NO LIFE」。例えば、悲しいことがあった時、ストレスがあった時に、どうするの?って。人それぞれリフレッシュの方法があると思うけど、色んなものがあるなかで、その方法が私にとっては音楽だった。音楽は1番簡単に、気分を変えられるし、自分をポジティブな気分にしてくれたり、聴くことでやる気が出るかもしれないし、聴くってすごい簡単なことだけど、大きな行動に繋がると思う。だから、そういう音楽を、自分が歌って音楽で届けられるようになりたい。」   ―ASA WU     彼女にとって音楽は人生そのものだろう。人生の中で遭遇するネガティブな感情やストレスなど様々な葛藤と向き合い乗り越える時、また、心が晴れるような瞬間も音楽は彼女と常に寄り添う。歌詞を書く際は、自分の頭の中でイメージしたストーリーに登場する主人公の感情や、日々ノートに書き綴っている人生の気づきからインスピレーションを得たりと、エモーショナルなアプローチをとることが多いという。人々がまだ知らない、感じたことがない気持ちを自身の歌を通して共有したいという思いが込められており、それはまた、音楽に支えられてきた彼女自身のように、自分の歌で人々の心に寄り添いたいという彼女の信念からきている。   「Uncolor」MV
     

    新曲「Uncolor」について

    新曲「Uncolor」の作詞制作プロセスでは、先に出来上がっていたストーリーとビートからイメージを膨らませ「暗闇と光」が共存する世界観を歌詞で表現した。彼女が歌詞の中で特に好きなラインは歌い出しの「どんなColorにも 見えない Night Sky」や「Feeling Sad さみしい色の空 君がいた」だという。その理由について彼女は、「空って、夜の空は黒といえば黒かもしれないけれど、自分の心の具合によっては、どんな色にも見えるかなと思って、そういう言葉を並べました。そして、歌詞の中の「My friends」は地球のみんなに届くように、「みんな友達だよ」という思いをこめて書きました」と語った。レコーディングの際は、歌声でどのように人々にこの想いを届けられるかを意識して、歌声で色付けるように部屋を暗くして挑んだとのこと。   ファッション・アート・ミュージック各分野のアーティストが集結するプロジェクト『Artiswitch』では、「Uncolor」と共に大人気イラストレーターのNANCYSNAKEとコラボレーションを発表しメロディーとビジュアルでストーリーの世界観を表現した。   ASA Wuにとってコラボレーションとは、アーティスト個々のそれぞれのカラーが重なり合って新しい色に出会うことができる発見のようだという。また、それは新しい自分との出会いともいえるだろう。変幻自在に音色を奏でるこれからの彼女の新しい色にも期待が高まる。   彼女は自分の音楽を聞いてくれる人に対して「自分が音楽で伝えたいこともそうだし、歌詞を書いてくれる人がいたら、その人が世界に伝えたいことも自分の声で伝えられたらいいなって。聴いてくれてる方からのメッセージからも、「この人はこういうこと考えてるんだ」っていうのを吸収して、そういうのも共感を得られると思うから、そういうのを自分の声で歌って、「ASAちゃんがこういうことを歌ってくれて良かった」って思ってもらえるような音楽を広めていきたい。ASA Wuの曲を聞いていてよかった、応援してきて良かった、と思ってもらえるようなアーティストに絶対なるので、みんな楽しみにいっぱい応援してね!」と満面の笑顔で語った。ひとの心に音楽で寄り添うASA Wuは、これからも唯一無二の音色で人の心に光を紡いでくれるだろう。そんな彼女のメッセージ性溢れる新曲「Uncolor」を聞きながらそっと一息、深呼吸してみては?       TEXT:Natalie(MOSHI MOSHI NIPPON)       ASA Wu Instagram:https://www.instagram.com/asawurarara/ YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCodMTlxqMqMr4_EGGY3ilYw